小学生になったら、絵本だけではなく、より活字に親しむ本を取ってほしいというのが親心ですね。
今回は絵もたくさん使われていながら、活字ならではの物語の世界にちゃんとひたることのできる「ぼうけんもの」「ファンタジー」ものをよりすぐって4冊紹介します!
子どもたちはこのジャンルがとても大好きです。
楽しくて、すぐに読めてしまうので、読書感想文を書くのにも、うってつけの作品です!
名作とは再読をうながすもの!
古田足日/作 田畑精一/絵
童心社 1,404円 1974年初版
全80ページ
子どもたちが読み終わり、しばらくたつと、また読みたいと本棚から持って来る本が何冊かあります。
何度もそういうリクエストを受けたのがこの本です。
大人目線では第一印象えんぴつで画で、モノクロであまりピンと来ない感じがあるのですが、どうやらストーリーにインパクトがあるようです。
保育園で叱られて真っ暗闇の押入れに入れられてしまった二人。
そこで恐ろしいねずみばあさんが現れて大冒険の世界が繰り広げられるのです。
保育園の押入れという日常から暗闇の中に広がる無限のファンタジー世界。
大人が読む小説でも名作とは、共感と驚きの要素がバランス良く組み合わさっていることだと言われます。
そして、名作とは再読をうながすものだとも言われます。
もう一度読みたいと子どもたちが魅力を感じるこの作品はやはり名作として半世紀近く読み継がれています。
ぜひ、わくわくした気持ちを書いてみましょう。
空を飛べる願いがかなう!
令丈ヒロ子/作 長谷川義史/絵
講談社 1,296円 2012年初版
全36ページ
ごんべえさんは、カモを一度にたくさんとろうと、お酒をしみこませた豆をえさにして、カモをつかまえようとします。
うまく豆を食べさせてカモを酔わせて、眠らせたごんべえさん。
作戦が成功して、簡単にカモになわをかけられ、うれしがるごんべえさん。
ところが、99羽になわをかけたところで、そのうちの一羽が目覚めてしまいました。
一羽のカモが騒ぎだすと、他のカモも目を覚まします。
カモたちがいっせいに逃げ出そうと羽をはばたかせたので、さあたいへんです。
ごんべえさんはカモに引っぱられて空の上へと、連れて行かれてしまうのでした。
空高く飛んだごんべえさんに、その後も次から次に普通はありえないことが起こります。
昔から語り継がれたお話が親しみやすい絵とともに語られています。
関西弁なところも親しみやすい雰囲気です。
空を飛んでみたいという昔の人の思いが表れた小品です。
自分がごんべえさんのように空を飛んだら、どう感じるのか想像して感想を書いてみましょう。
読者に語りかけてくるお話!
寺村輝夫/作 永井郁子/絵
あかね書房 1,080円 1989年初版
全102ページ
仲間たちと胸おどるできごとを通して宝さがしの大冒険がくりひろげられます。
ストーリーもさることながら、特徴的な書かれ方として、読み手に投げかけがあることです。
最初のページから「ポケット・ケポット・トッポケト。うまくいえたら、よみはじめてよろしい」と始まります。
子どもたちの中には声高らかに言ってから読み始める子もいます。
お話の途中でも、「じゅもんを三かいとなえること。うまくいえた人だけが、つづきをよんでよろしい。」と出てきます。
子どもは「これ読むの?」と質問されることがよくあります。
このような「二人称小説」の手法は、知らず知らずのうちにものがたりに読み手をひきこみます。
こんなところもこの作品の魅力の1つなんですね!
こんなしかけの面白さについて感想を書いてみると、特徴的な感想文になりそうですね。
ガラスでできた世界へレッツ・ゴー!
征矢清/作 林明子/絵
偕成社 1,296円 2001年初版
全157ページ
すぐり少年はガラスのうまを追いかけて迷い込んだのは山の中。
まるで、魔女のようなガラス山のかあさんの小屋がありました。
ひたすら、そこで水くみばかりさせられるすぐり少年。
ひょっと、水がたまったかめの底をのぞいてみると、その奥には夜空のような世界が広がっていました。
そして、あのガラスのうまが走っているではありませんか。
うまを追いかけるように、すぐりは水がめの中に飛びこむと、その先には何もかもガラスでできた世界が広がっているのでした。
いつの間にか、気づくと不思議な世界に入り込んでいたという「千と千尋の神隠し」や「おしいれのぼうけん」と同じタイプのお話です。
子どもがお話の世界に入り込みやすく、魅了されるタイプのストーリーですね。
ガラス山のかあさんが現れたとき、どう感じたか。
ガラスの世界のようなところが本当にあったら、行ってみたいか書いてみましょう。