今回の話題は、横浜港でも見つかった、あの「ヒアリ」についてです。
ひとつのコロニー(生息区域)に四千万匹ほど住んでいる大家族のこの虫。
南米のアマゾンが故郷のようです。
今では世界中に拡散しているのですが、北アメリカでは家畜や農産物の被害が年間四千億円。
ヒアリの襲来した国にとっては大問題です。
しかしこの虫は、そもそもアマゾンからどのようにして日本にまでやってきたのでしょうか。
答えは「船に乗ってやってきた」なんです。
まず18世紀にアマゾンから北米南部に到着、その後80年かけて西海岸まで到達。
そこからオセアニア、東南アジア、東アジアへ向かう貿易船に乗り、拡散。
最近ようやく日本にまでやって来た、というわけです。
駆除は難しく繁殖力が強い。
人にとっては困りもの、ですが、アリにとっては無関係。
生物としては非常に優秀なわけです。
その優秀さの根拠が何なのか、そこが肝心。
例えば、アマゾンは雨期に水没するのに、彼らはなぜ絶滅しないのでしょうか。
この答えは「いかだを作る」です。
もちろん木を切って作るわけではありません。
自分たちの強いあごと脚でスクラムを組み、Lサイズのピザ程度の大きさの円盤状になる。
箸でつまんでも、そのまま持ち上がるほど強力につながっているんですよ。
そして、流れに身を任せ、やがて木や陸地につくと、すぐにバラバラに離れ、上陸を開始するのです。
ここからが重要なんですが、「ヒアリいかだ」は働きアリだけで構成されています。
上に乗っているのは「卵」とその「世話係」だけなのです。
「いかだ班」はそのまま溺れてしまうことが多いのです。
が、彼ら(いかだ班)は自分の命よりも「種の生存」を優先するのです。
種の保存を考えると、繁殖能力のない働きアリよりも、一匹の女王アリやその卵を守る方が理にかなっていますね。
結果、数を増やしながら、世界中に生息エリアを拡大させているというわけです。
※もちろん、ヒアリをみつけても触ってはいけませんよ!