ヒトの脳はお母さんのお腹にいるたい児のときから、シワが作られていきます。シワができる理由は頭がい骨の中に脳をきちんと収めるためです。
ヒトの脳は、大きく分けると脳かん・小脳・大脳からできています。
脳かんは呼吸など命をたもつために大事なはたらきをしています。小脳は『運動の記憶』に関係しています。自転車を例にあげると、初めはうまく乗れなくても練習するうちにうまく乗りこなせるようになります。そして一度このようになれば、時間が空いてもうまく乗れます。これは、自転車の乗り方を『運動の記憶』として小脳にたくわえられているためです。
そして、今回のシワの話となる大脳は脳の外側にあるもっとも大きい部分です。大脳の役わりは『考えるはたらき』です。このはたらきをする場所は大脳表面のごくうすい部分にあります。シワのようすはこの『考えるはたらき』と次の2つが関係します。ひとつはシワが多くなるほど大脳の表面が広くなります。面積が広いとそれだけ『考えるはたらき』が大きくなると考えられています。もうひとつは、離れた『考える領域』をニューロン(神経細胞)でつなぐためと考えられています。大脳の表面では、五感や運動、言語・思考・創造・情操などを考える部分が細かくたくさん分けられてあります。
これらの情報と伝達を処理するのがニューロンです。このように大脳で『考えるはたらき』を良くするために大脳の面積は広くありつつも、ニューロンによる情報と伝達の効率がよくなるよう、シワを作ることで頭がい骨にきちん収まるようになります。ただし、脳の研究はまだまだわからないことばかりです。この考えが必ず正しいとは言えません。
もし、脳が大きくシワがたくさんあれば頭が良いと言うなら、ヒトよりゾウやクジラの方が優れていることになります。ヒトの脳の重さは1,200g~1,500gです。ゾウは約4,000g~6,000gです。クジラは約7,000gもあります。もちろんシワもあります。今回の話とは少し違いますが「脳のシワが多いと頭がよい」というわけではないと言うことです。