次元とは、空間の広がりをあらわすのに使う目印のようなものです。
わたしたちの住んでいる世界では、前後・左右・上下のそれぞれの方向に動くことができるので、3次元の世界と考えることができます。また、わたしたちの体も、厚み・はば・高さを持つので3次元の存在といえます。もしとても薄うすくて厚みがない紙があれば、その紙の上は2次元の世界とみなすことができます。 同じように、とても細くて太さがないひもがあれば、1次元の世界ということもできるでしょう。
ただし実際には、厚さが0の紙や太さが0のひもは存在しません。
それは、この世界にあるすべてのものが、原子という小さなつぶが集まってできているためです。その原子がたとえどんなに小さくても大きさを持つ以上、厚さや太さが0のものをつくることはできないというわけです。
「次元」はもともとは数学で使うことばで、問題を考えるときに便利なように頭の中で作り出した道具です。そして現実の世界に対応するものがなくても、うまく利用することで計算をかんたんにすることができます。 実際、物理学では3次元にもうひとつ時間を加えた4次元(時空といいます)で計算することもよくあります(ミンコフスキー時空といいます)。
また、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎さんは宇宙の成り立ちを「ひも理論」というしくみで説明しようとしました。さらに最新の「超ひも理論」では、4次元時空にさらに6次元を加えた10次元で説明しようと研究を進めています。ただ、10次元といっても、加えた6次元は小さすぎてわたしたちの目には見えないようです(これをコンパクト化といいます)。今後、どのように宇宙の成り立ちが解明されていくのか、楽しみですね。