髪には、暑さや寒さから体を守り、ぶつかったときのショックをやわらげるはたらきがあります。また、日光にふくまれる有害な紫外線をふせぐはたらきもあります。(Q11.を見てみよう)その大切な役わりをもつ髪の毛は、じつは死んだ細ぼうからできています。これを皮の角質化といいます。髪の毛だけでなく、じつは爪も皮ふが死んでかたくなり、形が変わったものなのです。
爪はとうめいなのに髪の毛に色がついているのは、「メラニン」という色素(色のもと)があるためです。年をとるとこの色素がなくなっていくため、若いときに黒い色だった髪の毛もだんだんと白くなってしまうわけです。髪の毛が死んだ細ぼうでできているのに、どんどんのびるてくるのは、根もとの部分(毛根といいます)で新しい髪がつぎからつぎにつくりだされているからです。
さて、その髪の毛は、「たんぱく質」(肉やダイズに多くふくまれます)からできていますが、その「たんぱく質」は「アミノ酸」というとても小さなものが組み合わさってできています。ちょうど、積み木のブロックを組み合わせて建物や乗り物をつくるようなものですね。アミノ酸はそのブロックにあたるわけですが、いくつかの種類があり、人の場合は、約20種類のアミノ酸が組み合わされることでたんぱく質がつくられています。
ヒトの髪の毛のたんぱく質もとてもじょうぶにつくられているので、1本の細い髪の毛で100gの重さの物をささえることができるそうです。そうすると、人の髪の毛はおよそ10万本ぐらいあるので、全部で10トンの重さをささえることができ、大きなゾウさえもつるすことができることになりま す。
ところで、生き物の体だけではなく、宇宙うちゅうにあるすべてのものは、原子げんしという小さなつぶからできています。(Q50.を見てみよう) そこで、人の体にふくまれる原子を多い順にならべてみると、次のようになります。
さん素そ、たん素、水すい素、ちっ素、カルシウム、リン、イオウ・・・・
このうち、初めの4つの原子だけで体の97%がつくられていますが、じつはこの4種類の原子こそがアミノ酸というブロックをつくりあげています。
つまり、原子がアミノ酸をつくり、アミノ酸がたんぱく質をつくり、そのたんぱく質が体をつくっているというわけです。 ふくざつな体の多くの部分が、たった数種類の原子からできているのは、とてもふしぎなことですね。