『人体の不思議展』では本物の人の体が展示されています。
ふつう生き物の体は、命を失うと水分をふくむ部分が、目に見えない小さな生物(バクテリアといいます)に分解されはじめます。そして、もとの形がなくなってしまうか、または、カラカラにかわいてまったく別のすがたになってしまいます。
ですから生き物の体をそのまま保存するためには、ふくまれる水分をどうするかが重要になります。
今までは、医学の研究のため人体を保存しようとするときは、ホルマリン(透明できついにおいがあり、生物に有害ですがくさるのを防ぎます)やアルコールにつけていました。有名なレオナルド=ダ・ヴィンチはアルコールにつけて保存した人体を解ぼうしたといわれています。
ところが『不思議展』で展示されていた人体は、生きていたときと同じようなすがたを保もち、さわるとかわいた感じがします。
これには、最近開発されたプラスティネーションという技術が使われていて、体の中の水分をプラスチックに置きかえることで、くさることのないかわいた標本を作っています。もともとは、体の一部をけんび鏡で見るための標本を作る技術でしたが、この技術を発展させ、体全体を保存することが可能になりました。
この方法は、水分をふくんだものならば生き物の体以外にも利用できます。
たとえば、水をふくんだ地層の一部を保存することなども行われています。