なぜ入試に国語があるの?【神奈川高校入試 出題作品リスト】

「国語」のテストで試される力って、いったいなんだろう?

「国語」のテストで試される力とはいったい何?
こう考えたことはありますか。

・漢字?
・ことわざ・慣用句(かんようく)?
・物語文?
・説明文?
・古文?

そうです!
どれも正解です。
でも、今回はちょっと違う見方をしてみます。

日本では、ずっと以前から「国語」と言われてきましたが、こんな言い方をする国は、ほかにはありません。

・イギリス・アメリカは英語
・ドイツならドイツ語
・フランスならフランス語

同じように考えれば国語は日本語です。

日本人なのに日本語を学習するのは変な感じに聞こえるかもしれません。
しかし、わたしたちは国語の授業で日本語を学習しているわけですね。
この点をふまえて、国語で学習することを、角度を変えてとらえてみましょう。

1. 国語力とは何か?


国語力とは、日本語で「聞く」「話す」「読む」「書く」力のことです。
この中で、学校でも塾でも、学習の中心になっているのは「読む」力、「書く」力です。

日本語で書かれた文章を正しく読み取り、正しく表現する(書く)ことが、できるようになるための学習が国語です。

入学試験や学力テストでも、この能力が正しく身についているか、が問われるのです。
これまでのテストでは、特に「読み取る力」難しくいうと「読解力」が問われてきました。

「聞く」「話す」といった力も同じですが、日本人なのに、日本語で書かれた文章が理解できないのはおおいに困りますね。

日本人なのに、日本語で文章が書けないのもおおいに不便です。

ですから、日本語で書かれた、どんな文章でも理解できる力、どんなことでも表現できる、人に伝えられる力がもっとも大切だということは、これでおわかりいただけたと思います。

しかしながら、ふだん毎日使っている日本語なのに、毎日の生活ではあまり困ることがない日本語なのに、国語のテストとなると点数が取れない、国語は苦手という人も少なくないのではないでしょうか。

それは、いったい、どうしてなのでしょう?

わたしたちが、日常生活を過ごしている空間、時間というものには限りがあります。

家→学校→習い事または塾→家→学校……

会話をするのも、家族、友だち、学校の先生など、ほとんど毎日同じでしょう。

しかし、世の中にはたくさんの人がいて、たくさんのできごとがあり、たくさんの考え方や意見があります。

国が違えば、また違う考え方をする人がいます。
異なる文化があります。

また、歴史を振り返れば、今とは違う生活があり、違う感じ方や考え方をして、それが時代によっても変わってきます。

そうです!

わたしたちは、現在、過去、違う国、あまりにも多くのことを学習しなければならない時代に生きているのです。

ですから、少しでも多くのことを知ることが求められます。

よりよい生活、よりよい時代を築くためには、多くのことから学び、そして、多くの人に認めてもらえるものを創造していくことが重要になります。

「国語」で問われる力とは、はじめて読んだ文章であっても、正しく理解できる力です。

多くのことを学ぶための、どのような種類の文章でも、いつの時代のことでも、どこの国の話でもです。

学力テストでも、入学試験でも、その力が問われています。

そのために必要な日々の学習とは、たくさんの言葉を知ること、たくさんの文章を読んでおくことがとても大切になってきます。

さらに、日本語は、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字と、たくさんの表記方法があります。

とりわけ、漢字は小学生のうちだけでも1006字。

意味や使い方を正しく理解しながら、漢字の読み書きもこつこつと続けることが必要です。

2. 神奈川県高校入試 国語出典作品


ここで過去に、神奈川県公立高校の入学試験、国語の問題に出題された作品を見てみましょう。

著者 ※敬称略
「 」は本のタイトル。

物語・小説

瀧羽麻子「博士の長靴」

青谷真未「水野瀬高校放送部の四つの声」

森谷明子「春や春」

石川たかし「竹とんぼの坂道」

平田オリザ「幕が上がる」

坂井希久子「迷子の大人」

陣崎草子「草の上で愛を」

風野潮「モデラートで行こう♪」

有川浩「阪急電車」

宮下奈都「スコーレ No.4」

北村薫「ひとがた流し」

木内昇「よこまち余話」

藤井清美「明治ガールズ」

原田マハ「たゆたえども沈まず」

野中ともそ「洗濯屋三十次郎」

吉川永青「憂き夜に花を」
 

論説文

ハナムラチカヒロ「まなざしの革命 世界の見方は変えられる」

小浜逸郎「日本語は哲学する言語である」

榎本博明「自分らしさ>って何だろう?」

吉本隆明「読書の方法」

浜本隆志「『窓』の思想史」

西江雅之「食べる」

田中真知「美しいをさがす旅にでよう」

丸山康司「環境の社会学」

田嶋謙三・神田リエ「森と人間」

甲斐徹郎「自分のためのエコロジー」

佐倉統・吉田ゆかり「おはようからおやすみまでの科学」

内山節「半市場経済」

笘野一徳「はじめての哲学的思考」

中屋敷均「科学と非科学」

吉見俊哉「知的創造の条件」

いかがでしたか?

読んだことのある本はありましたか?

また、同じ作家・著者が書いた、ほかの本を読んだことがありますか?

これらの本で、読んだことがある、もしくは、この本以外で、この作家・著者の作品を読んだことがある、というものを数えてみてください。

学校の教科書で習う文章でもありません。

楽しんで読む本ばかりでもありません。

入試対策として、過去問を解いたことがある人以外は、ほとんど読んだことがない本ばかりでしょう。

だからといって、この本すべてをすぐに読みましょう!

ということを伝えたいわけではありません。

もちろん、読んだ方がよいですよ!

このように、実力を試される場では、「物語・小説」「論説文」+「古文」で、ふだん読まない本でもその場で理解できる力が求められるわけですよね。

ちなみに、中等教育学校の問題では、多くの場合、問われる内容が異なります。

ただ、私立や国立の中学入学試験でも、設問の内容はレベルもあわせてほとんど同じです。

学校の定期テストや学力テストは、基本同じような設問になっています。

「どんなことが問われるのか?」

これを事前に知っておき、しっかり意識したうえで問題に臨むと、試験のときの時間を有効に使うこともできますし、解くときの集中力アップにつながるでしょう。

3. 小説で問われていることとは?


では実際、小説ではどんなことが問われているのか具体的に見ていきましょう。

簡潔にまとめるなら

場面・情景の理解:いつ、どこで、だれが、何を、どうしたのか(何が起きたのか?)
場面の変化:ストーリーがどう変わっていくか?
心情(気持ち)の変化:ストーリーの変化で、登場人物の気持ちにどんな変化があったか?
主題=テーマ(作者から読者へのメッセージ):みんなに伝えたいことは何か?

ざっとこんなことが問われます。

ずいぶん長い間、日本では国語力というと、作中人物の心情(気持ち)を理解することがとても大事にされてきたんですね。

これは大学入試センター試験でも特徴的に表れていて、小説の読解ではなんと5問中4問が「心情」の理解に関する問題でした。

「文章を読んで、人の気持ちを理解する」というのは「学力」なのかという疑問がぬぐえません……。

しかし、はっきりと書かれていないことを文章全体から読み取る=察する力

これは、日本語の場合はとても大事にされてきた「文化」ともいえるものなのです。

苦手な人は、本を読んでいく中で、あるいは、国語の学習をしていく中で、「心情語=気持ちことば」をたくさん身に付けていくことが必要です。

4. 論説文で問われていることとは?


論説文で問われていることが何かも見ていきましょう。

どちらかというと「苦手」な人、多いですね。
しかし、実は小説より「楽」です。

なぜなら、はっきりと書かれている内容を読み取ればよいからです。

すごく、すごく簡潔にまとめます。

話題 何について
問題提起 何が問題なの?
具体例 実際にどんなことがある?
主張 どうすればよいの?
反証 確かに反対意見もあるよね。
結論+理由 でも、やっぱりこんな理由で、こうしなければいけないんだよ。

こういうことが書かれていることがほとんどです。

上記の①~⑥がわかりやすく形式段落になっているので、段落ごとにはっきりと書かれている内容を読み取ればよい。

それに、出題されるほとんどの文章がわたしたちの日常や未来にとって、とても重要な問題であることが話題ですから、ふだんから社会で起きる様々なことがらに目を向けておくことここそ、とても重要なのです。

設問も

何が=話題
どういけなくて=問題点
どうすればいいのか=筆者の主張(これを「要旨」といいます)

これらを読み取れているかを問うものです。

大事なことは、身の回りのこと=「自分にも起こりうること」であろうが、世界のどこかのこと=「自分とは一見、関係なさそうなこと」であろうが、常に問題意識をもって注目しておくことではないでしょうか。

5. まとめ

いかがでしたか。

なんでわざわざ国語をテストをするのか。

そのテストで何が問われているのかについて説明してみました。

小説でも論説文でも要はひとりよがりでなく、書かれた文章を正しく理解することが問われているのです。

勉強する意味を理解すると、勉強に前向きになれませんか。
これから手に取った本や教科書から多くのことを吸収していきましょう。

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