「国語」のテストで試される力って、いったいなんだろう?
「国語」のテストで試される力とはいったい何?
こう考えたことはありますか。
- 漢字?
- ことわざ・慣用句(かんようく)?
- 物語文?
- 説明文?
- 古文?
そうです!
どれも正解です。
でも、今回は国語で学習することを、角度を変えてとらえてみましょう。
1. 国語力とは何か?
国語力とは、日本語で「聞く」「話す」「読む」「書く」力のことです。
この中で、学校や塾では特に「読む」力と「書く」力が重視されています。
国語の学習は、日本語の文章を正しく読み取り、正しく書くことを目指します。
しかしながら、毎日使っていることばであり、日本人の母国語である日本語なのに、国語のテストとなると点数が取れない、国語は苦手という人も少なくないのではないでしょうか。
ことばは情報を伝えるツールであり、国語の学習はこのツールをうまく使う訓練をすることなんですね。国語のテストで上手く点が取れないのは「訓練が足りない」、つまり、ことばの正しい使い方を身につけていないからなんです。
国語の学習では、たくさんの文章に触れてことばの使い方を学び、文章を正しく理解することが大切です。そのために、文章中のことばの意味や漢字、熟語、慣用句の意味を正しく知っておく必要があるわけです。
他の教科の学習においても日本語の読解力が基本となるので、入学試験や学力テストでも国語の基礎力が非常に重要になってきます。
2. 神奈川県高校入試 国語出典作品
著者 ※敬称略
「 」は本のタイトル。
物語・小説
青谷真未「水野瀬高校放送部の四つの声」
森谷明子「春や春」
石川たかし「竹とんぼの坂道」
平田オリザ「幕が上がる」
坂井希久子「迷子の大人」
陣崎草子「草の上で愛を」
風野潮「モデラートで行こう♪」
有川浩「阪急電車」
宮下奈都「スコーレ No.4」
北村薫「ひとがた流し」
木内昇「よこまち余話」
藤井清美「明治ガールズ」
原田マハ「たゆたえども沈まず」
野中ともそ「洗濯屋三十次郎」
吉川永青「憂き夜に花を」
論説文
小浜逸郎「日本語は哲学する言語である」
榎本博明「自分らしさ>って何だろう?」
〈自分らしさ〉って何だろう ――自分と向き合う心理学 (ちくまプリマー新書)
吉本隆明「読書の方法」
浜本隆志「『窓』の思想史」
「窓」の思想史 ──日本とヨーロッパの建築表象論 (筑摩選書)
西江雅之「食べる」
田中真知「美しいをさがす旅にでよう」
丸山康司「環境の社会学」
田嶋謙三・神田リエ「森と人間」
甲斐徹郎「自分のためのエコロジー」
佐倉統・吉田ゆかり「おはようからおやすみまでの科学」
内山節「半市場経済」
笘野一徳「はじめての哲学的思考」
中屋敷均「科学と非科学」
吉見俊哉「知的創造の条件」
これまで読んだことのある本はありましたか?
また、同じ作家・著者が書いた、ほかの本を読んだことがありますか?
これらは学校の教科書で習う文章でもないし、楽しんで読む本ばかりでもありません。
入試や学力テストなど、実力を試される場では、「物語・小説」「論説文」+「古文」で、ふだん読まない本でもその場で理解できる力が求められるからこそ、備える必要があるのです。
もしこのような作家・著者の作品を読んだことがなければ、まずはこれらの中から一冊選んで読んでみることから始めましょう。
「どんなことが問われるのか?」
これを事前に知っておき、しっかり意識したうえで問題に臨むと、試験のときの時間を有効に使うこともできますし、解くときの集中力アップにつながるでしょう。
3. 小説で問われていることとは?
簡潔にまとめるなら
- 場面・情景の理解:いつ、どこで、だれが、何を、どうしたのか(何が起きたのか?)
- 場面の変化:ストーリーがどう変わっていくか?
- 心情(気持ち)の変化:ストーリーの変化で、登場人物の気持ちにどんな変化があったか?
- 主題=テーマ(作者から読者へのメッセージ):みんなに伝えたいことは何か?
ざっとこんなことが問われます。
ずいぶん長い間、日本では国語力というと、作中人物の心情(気持ち)を理解することがとても大事にされてきたんですね。
これは大学入試センター試験(現:大学入学共通テスト)でも特徴的に表れていて、小説の読解ではなんと5問中4問が「心情」の理解に関する問題でした。
「文章を読んで、人の気持ちを理解する」というのは「学力」なのかという疑問がぬぐえません……。
しかし、はっきりと書かれていないことを文章全体から読み取る=察する力
これは、日本語の場合はとても大事にされてきた「文化」ともいえるものなのです。
物語文が苦手な人は本を読んでいく中で、あるいは国語の学習をしていく中で、「心情語=気持ちことば」をたくさん身に付けていくことが必要です。
4. 論説文で問われていることとは?
どちらかというと論説文を「苦手」にしている人、多いですね。しかし、実は小説より「楽」です。
なぜなら、はっきりと書かれている内容を読み取ればよいからです。
すごく、すごく簡潔にまとめます。
- 話題 何について
- 問題提起 何が問題なの?
- 具体例 実際にどんなことがある?
- 主張 どうすればよいの?
- 反証 確かに反対意見もあるよね。
- 結論+理由 でも、やっぱりこんな理由で、こうしなければいけないんだよ。
こういうことが書かれていることがほとんどです。
論説文は、上記の1~6がわかりやすく形式段落になっているので、段落ごとに書かれている内容を読み取ればよい。
それに、出題されるほとんどの文章がわたしたちの日常や未来にとって、とても重要な問題であることが話題ですから、ふだんから社会で起きる様々なことがらに目を向けておくことこそ、とても重要なのです。
設問も
どういけなくて=問題点
どうすればいいのか=筆者の主張(これを「要旨」といいます)
これらを読み取れているかを問うものです。
大事なことは、身の回りのこと=「自分にも起こりうること」なのか、世界のどこかのこと=「自分とは一見、関係なさそうなこと」なのかに関係なく、常に問題意識をもって注目しておくことではないでしょうか。
5. まとめ
いかがでしたか。
なんでわざわざ国語をテストをするのか。
そのテストで何が問われているのかについて説明してみました。
小説でも論説文でも要はひとりよがりでなく、書かれた文章を正しく理解できていますか?と問われているのです。
勉強する意味を理解すると、勉強に前向きになれませんか。