おれの“幸せ”から猫の“幸せ”へ
出題作品
出題校
城北中学校、ラ・サール中学校、三輪田学園中学校、栄東中学校
出題ページ
P129 自分はゴンを守りたいのだ。
城北中学校、栄東中学校 出題
あらすじ
父親の都合で曽祖母(ひいおばあちゃん)の家へ引っ越した高校生の吉住友梨(よしずみゆうり)とその家族が織りなす6編の家族小説です。
ポイント
「猫を配る」からの出題で、友梨の弟拓也(たくや)と拓也の同級生の杉原武(たける)の話です。
体格が良く、周りから恐れられている武でしたが、かつて狐(キツネ)によく似た猫「ゴン」を保護していました。
あるきっかけから、拓也と武は二人でいなくなったゴンを探すことになったのです。
表題は、「ゴン」を発見したものの、せっかく見つけたゴンをもとの飼い主に返す決心をした武が感じたことです。
問題は、そのときの武の心情変化を記述させるものでした。
周囲から孤立していた武は、拓也をはじめさまざまな人たちと出会い、心のわだかまりが解けていきます。
そして、かつては自分の心を満たすためにゴンを保護していた武が、ゴンの“幸せ”を願えるようになった、ということをまとめます。
本作は、2022年の中学入試で、最も多く出題された物語文の一つです。
微妙な関係となった家族とどう向き合うか、というテーマにどこまで理解を深め、その心情に迫れるかがポイントとなります。
執筆:国大Qゼミ中学受験コース 国語科 亀田 昌彦