本当の最後に感じた息子の “成長”
出題作品
出題校
城西川越中学校、江戸川女子中学校、清泉女学院中学校、穎明館中学校、渋谷教育学園渋谷中学校、開智中学校
出題ページ
P459 「おとうさん、いまのショートフライだよね」
穎明館中学校 出題
あらすじ
年齢も立場もちがう12組の男女の“日曜日”に焦点をあてた物語です。
ポイント
「卒業ホームラン」からの出題で、強豪少年野球チームの監督である加藤徹夫と、息子で小学6年生の智(さとし)のストーリーです。
徹夫は、智がこれまで一度も試合に出場できず、6年生最後の試合にも出場させられなかったことが心残りでした。
そこで試合終了後に智を打席に立たせ、一対一の勝負をしたのです。
表題は、勝負がついた打席での智の気持ちを問う問題でした。
徹夫や智の母佳枝(よしえ)は打ったことをたたえましたが、智は好きな野球にうそをつきたくない、それは父も同じだと心が通じ合えたことに満足した、ということをまとめます。
また、徹夫自身も智を試合に出してやれなかったことを悔やんでいましたが、それ以上に智が前を向いていたことに、息子が知らず知らずに“成長”をしていたことを感じたのです。
少年少女の心理描写に定評のある重松清氏の作品ですが、大人の目線から見た“子どもの成長”、そして“大人自身の成長”などの描写も中学入試で出題されています。
執筆:国大Qゼミ中学受験コース 国語科 亀田 昌彦