実感した祖父の“におい”
出題作品
出題校
聖光学院中学校、世田谷学園中学校、佼成学園中学校、清泉女学院中学校、東京女学館中学校、神奈川大学附属中学校、法政大学中学校、法政大学第二中学校、大宮開成中学校、攻玉社中学校,東京都市大学等々力中学校
出題ページ
P279 「やっぱり、タオルがないとおじいちゃんじゃないから」
法政大学中学校 出題
あらすじ
おとなでもこどもでもない、微妙な時期にいる“小学五年生”のこどもたちを描いた物語です。
ポイント
「タオル」からの出題で、漁師だった祖父が亡くなったことを実感できずにいるある少年の話です。
祖父の知人である“シライさん”から、祖父の話をたくさん聞くうちに、今まで知らなかった祖父の一面を知ることとなりました。
また、お葬式に集まっていた人たちが、祖父の話を“思い出話”としているのを聞き、急に祖父の死を実感するようになったのです。
表題は、祖父が身につけていた”タオル”を見つけたシライさんが言ったセリフです。
なぜタオルがないとおじいちゃんじゃないと言ったのか、その理由を答えさせる問題でした。
“タオル”は、地元で一番の漁師だった祖父の象徴であり、祖父の一部でもあった、ということを答えます。
中学入試においてこれまで数早く出題されてきた重松清氏の作品は、家族への愛など、人と人とのつながりの描写に定評があります。
著者の多彩な心情描写とその表現は、入試で扱う図書として多くの学校から支持を得ていると思います。
執筆:国大Qゼミ中学受験コース 国語科 亀田 昌彦