勇気をくれた“夜の海”
出題作品
書名：海の見える理髪店
著者：荻原 浩
刊行日：2016/3/25
出題校
開成中学校、青稜中学校
出題ページ
P174 ありがとう、海。
開成中学校 出題
あらすじ
人が生きていく上で避けられない “別れ” と、それに向き合って強く生きていく人々を描く6編の家族小説集です。
ポイント
「空は今日もスカイ」という物語の中で、小学3年生の佐藤茜(あかね)が、家庭の事情で一緒に住むこととなったおばとの関係がうまくいかず、居心地の悪さを感じてしまう場面です。
茜は家出をして、大好きな海を目指しますが、やっと海の見える場所までたどり着いたものの、すでに日も落ち、暗くなった海の色を見て、家出したことをひどく後悔します。
夜も深まり月のこうこうと輝く海の美しい光景を見て、茜が興奮ぎみに表題のセリフを発します。
出題は、海に「ありがとう」と言った理由を記述させるもので、到着時の夕方の海、そして月の輝く夜の海の違いから茜の気持ちを読みとることが大切です。
この物語には、茜が家出の道中で出会った、親の暴力から逃げてきた少年 森島陽太(はるた)や、海の前で絶望していた茜たちを保護し、結果的に茜が“夜の海”に感動するきっかけをつくったビッグマンなど、複雑な事情を抱えた人物も登場します。
主人公が出会う人々を通して、家族のあり方”や“本当の優しさ”とは何かを考えさせる物語です。
執筆：国大Qゼミ中学受験コース 国語科 亀田 昌彦
小学生が自主的に多読できる読書プログラム
