小学生英語 受容語彙をいかに身につけるかがカギ!

新学習指導要領の英語教育と学習法

2020年には小学校、2021年4月には中学校全学年で新しい学習指導要領が導入されました。
アクティブ・ラーニングやプログラミング的思考などが注目されていますが、教科単独では英語(外国語)にもっとも大きな改訂が加えられました。
まさに「英語教育大改革」を宣言する学習指導要領です。

1.中学英語の単語数が増加!?

新学習指導要領では、中学3年間で習得を目指す単語数が、従来の1200語程度から2200語程度に増えました。
一見すると大幅な増加ですが、単純に2倍の単語をこれまでと同じ到達目標で習得するわけではありません。

この増加には2つのからくりがあります。

ひとつは、小学校の教科書で学習する単語を重複カウントしていることです。

例えば、中学1年の教科書で学習する単語約1000語のうち、半分の500語弱が小学5、6年の教科書で扱われています。

つまり、中学入学前の単語の定着度によって、中学1年の学習負担が増減するということです。
英語教育大改革によって、英語の本格的な学習は中学校からという時代が終わり、小5~中3の5年一貫学習が始まったわけです。

2.書けなくてもいい?英単語をどう学ぶ?

そして、2つ目の要因は今回の改定で導入された以下の語彙分類です。

発信語彙…意味を理解しつつ発話できる、書ける単語:1100語
受容語彙…意味がわかれば発話や書くことができなくてもいい単語:1100語

従来の習得目安1200語は発信語彙と同様の扱いだったので、新学習指導要領での習得単語数増加には受容語彙1100語の上乗せが大きく影響しているといえます。

これからの英語学習では、目の前の受容語彙とどのように付き合っていくかで、成績や先々の学習負担が変わってくるでしょう。
小学5、6年で習う単語(600~800語)はほぼ受容語彙ですが、中学では発信語彙に分類されます。
同様に、中学の受容語彙1100語の多くは高校で発信語彙になります。
つまり、受容語彙は発信語彙を学習する準備段階として、新学習指導要領で位置付けられているのです。

3.英語は受容語彙をどう習得するかがカギ!

段階を踏んだ語彙学習は理想的ですが、実は受容語彙の学習には落とし穴があります。

書けなくてもいい→反復練習しない→頭の中に残らない

こういう負の流れが容易に想像できるのです。

受容語彙は次のステージ(例:小学生から中学生へ)では発信語彙に変わります。
準備段階で頭の中に残っていないと、新しいステージでの学習負担が大きくなり、その上新たな受容語彙まで加わってと、単語習得の悪循環に入ってしまいます。

これでは、英語を楽しく学習することは望めません。
受容語彙として指定されている間に、しっかりと慣れ親しんでおくことが大切です。

発信語彙…従来通り書いて反復する
受容語彙…耳と目で反復して友だちになる

これが今後の英語学習のコツです。
耳と目で慣れ親しんだ単語は、ごく短時間で書けるようになります。
また、受容語彙はリスニングの会話文や読解問題の本文に多く登場する可能性が高いので、「聞く・読む」を通じて反復することがそのまま試験などの対策になります。

4.まとめ

どのように耳と目で反復するかということですが、まずは教科書の音読から入るのがいいでしょう。
しかし残念ながら、教科書の内容は何回も音読できるほど興味深くないのも事実です。
受容語彙は決して概念的に難しいことばではなく、英語が母国語の国では小学生でも知っている単語が大半なので、ストーリー性が高い英語の短編児童書を聴読・多読することで、受容語彙を無理なく反復することができます。

Qゼミでは多聴・多読の英語コースYOM-TOXをすでに開講していますが、受容語彙を発信語彙の準備段階に位置付けた新学習指導要領の導入にともない、公立小・中学校でも近い将来、多聴・多読メソッドが取り入れられると思います。
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執筆者:石井 直樹
英語版読むとくメソッド®YOM-TOX 開発主事

メッセージ : 日本における英語教育の誤りは、子どもの言語習得能力を過少評価している点です。文字、発音、文法が日本語と隔たっていても、子どもには英語を自然に習得する能力が備わっています。いつ、どのように英語に触れるかで、「使える英語」と「単なる知識の英語」の差が出るのです。

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