“劣等感”や“ふがいなさ”の向こう側
出題作品
ソノリティ はじまりのうた
書名:ソノリティ はじまりのうた
著者:佐藤 いつ子
刊行日:2022/4/20
出題校
学習院中等科、浦和実業学園中学校
出題ページ
P131 涼万か……。
学習院中等科 出題
あらすじ
中学合唱コンクールに向かう5人の少年少女たちの心の揺れ動きや成長を描いた物語です。
ポイント
「岳の場合-玉のしずく」からの出題です。
中学一年生のバスケ部員武井岳は、同じ部員で幼なじみの金田晴美(キンタ)が同級生の山東涼万と仲良くしていたことに心がざわめき、晴美にきつくあたってしまい、晴美を泣かしてしまいます。
そんな岳が五組の合唱練習に耳をそばだてていると、歌えず苦しむ晴美を涼万が勇気づける声が聞こえたのです。
表題はそのときに岳がどう感じたかを記述させるもので、バスケの才能でも涼万をうらやましく思っていた上に、晴美を元気づけることでも先を越されたため、“劣等感”や“ふがいなさ“を痛感した、ということを表現します。
作者の佐藤いつ子氏は前作『キャプテンマークと銭湯と』でも少年少女のもやもやした心情やその向こう側の心の成長を描写し、そこが多くの入試で出題されています。本作も今後の入試問題に多く出題されていくと思います。
執筆:国大Qゼミ中学受験コース 国語科 亀田 昌彦