タイムマシンで知った“現実”
出題作品
タイムマシンに乗れないぼくたち
書名:タイムマシンに乗れないぼくたち
著者:寺地 はるな
刊行日:2022/2/8
出題校
麻布中学校、浦和明の星女子中学校
出題ページ
P62 「タイムマシンがあればなー」
麻布中学校 出題
あらすじ
様々な事情から“孤独”を感じる人々の感情を描いた7編の短編物語集です。
ポイント
「タイムマシンに乗れないぼくたち」から、自分の居場所を求めて博物館に来た小学6年生の宮本草児と、その場に居合わせた“男”との奇妙なやりとりの場面です。
友人や家族関係に悩み、アクリル板の“しきり”ごしに標本を見られる博物館に安らぎを得るが、男との出会いで閉じ込めていたはずの“感情”があることに気づきます。
表題は、男が捕食の関係がなかった「エディアカラ紀」(約5~6億年前)に行きたいかと草児に問い、直後に発した言葉で、それに対して草児が何を感じたかを記述します。
“現実”が嫌で過去の競争のない時代に行ってみたいとは思うが、もし戻れなかったら母は悲しむだろうと思い、結局“現実”から逃げることはできないことに気づいた、という内容をまとめます。
人はときに“現実”から逃げたくなることもありますが、それでも決して“孤独”ではありません。誰かを想い、頼りなから生きていくことでも“現実”に向き合っていくことができると思います。
執筆:国大Qゼミ中学受験コース 国語科 亀田 昌彦