国大Qゼミ 小学生のための教育ブログ
人生百年時代が到来し、現在、小学生のお子さんは22世紀を生きる世代ですね。
AIを始めとする技術発展が「第4次産業革命」とも呼ばれているように、時代はこれまでにない劇的な転換期を迎えています。
子どもたちが社会変化に適応していくため、親世代にできること。
それが「教育」です。
国も、これからの社会変化に対応しようと、今、まさに戦後最大の教育改革を進行中です。
これほどの大改革は歴史上、明治維新のときと、第二次世界大戦後しかありませんでした。
「でも、まだうちの子は小学生だから、あまり関係ないわ」
こういかないのが、今回の改革です。
たとえば、暗記が得意な小学4年生のAくん。
塾の社会や理科の確認テストは毎週満点です。
もちろん、通うクラスも成績上位のクラスです。
ところが、Aくん、長い文章を読んだり、書いたりすることに、とても苦手意識を持っています。
国語のテストでは、漢字と記号問題しか取り組もうとしません。
記述問題はいつも白紙のままで提出です。
国語の試験時間中、時間を余らせたまま、机に突っ伏している姿もよく見かけます。
今までの教育だったらこのAくんも、得意教科で引っぱれば何とかなるかなあ、と思うのですが、これからの教育では一番苦しむタイプかもしれません。
このように、お子さまが受ける教育の質に大きな変化がやってくるのが今回の教育改革です。
お父さん、お母さんの小学生時代と比べて、いったい何がどう変わるのか、具体的に解説していきます。
また、最後には、これからの時代に求められる能力をお子さまが身につけるために、今するべきことは何かもお伝えします。
そもそも、なぜ「教育改革」する必要があるのでしょうか。
背景には何があるのでしょうか。
ここから掘り下げてみましょう。
理由は、大きく以下の4つが挙げられます。
今の小学生の半数は107歳まで生きると予測されています。
人生百年時代の到来、22世紀を生き抜くための「生きる力」を身につける必要があるからです。
AI(人工知能)などの登場により今後10年~20年で人の仕事の約半分がロボットに奪われるという予測があります。
また、今の小学生の65%は今存在していない仕事に就くとも予測されています。
そのため、「人」に求められる能力も大きく変わっていくのです。
人にしかできない能力をさらに磨く教育が求められるのです。
今の小学生が働き盛りの頃(2050年)、日本に在住する外国人は今の5倍にもなると予測されています。単に外国語を話せる能力に限らず、異なる文化を理解する能力も求められます。
広い意味での国際理解教育が求められます。
GDP(国内総生産・・・その国で一年間に生まれた財産、その国のお金持ち度合いを示す)は、現在の3位から2050年には8位となり、一人当たりのGDPではお隣の韓国に追いも抜かれるとの予測もあります。
人口問題や財政危機など日本の将来に影を落とすことはたくさんあります。
だからこそ「教育の力」で暗い未来予測を覆さねばなりません。
以上のような理由から、今、教育を改革せねばならない、「待ったなし!」となっているわけです。
▲ 目次に戻る「教育改革」では何がどのように変っていくのか、その内容をざっくりとのぞいてみましょう。
上に書いた「教育改革をしなければならない理由」から考えるとその答えが出てきます。
簡単に言うと「世の中で役に立つ人材を送り出す教育」に変えていくことです。
これまでの学習は「知識(何を知っているか?)や技能(何ができるのか?)」に偏重していましたが、新・学習指導要領(文部科学省)では、以下の3つの力を求めています。
この3つとも「そんなの当たり前じゃん!何を今さら?」って感じですよね。
だって社会に出て役に立つ人、支持される人、出世する人って、「何を知っているか(知識)、何ができるか(技術)」に秀でた人ではなく、「よく考えて、判断して、ちゃんと伝えられる人」じゃないですか?
その理由は社会に出ると、学生時代の「お勉強」とは異なる、「正解のない問題」が多いからではないでしょうか?
結論として、今回の教育改革を私流に超・簡単に説明するなら
「社会で役に立つ人間を育てるための改革」
と言えるでしょう。
「知識の詰め込み」を否定して円周率を「3」にしてしまった「ゆとり教育」は失政に終わりました。
ところが、今回の改革、文科省から出されている文書をよく読み解くと、随所に「ゆとり教育」と重なる部分があります。
では、今回の改革もまた失敗する可能性が高いのでしょうか?
答えは「NO」。
今回の改革は2つの点で「ゆとり教育」と大きく異なっています
「ゆとり」では、内容、量とも大幅に削られました。
これも今思うと、「教員の働き方改革」の先見の明だったのかも(笑)、これにより日本の小中学生の学力が他国と比べてガクっと落ちました(PISAなどの指標)。
その反省からも今回の改革では質・量とも減ってはいません。
「ゆとり教育」では、「学習の内容と量」は変わっても「大学入試」自体はほとんど変わらなかった。
だから受験生は「合格」するために塾など学校外での学習機会が増える結果になった。
これも「塾」にとってはありがたかったのですが。
そういった意味では、今回の改革は「本気」の改革です。
冒頭の戦後最大の改革、明治以来の改革と言われるのは、決して大げさではないのです。
そして、もう一つの特徴として、他の省庁も「教育改革」に参入している点が挙げられます。
教育と言えば「文部科学省」の専任業務のはずですが、経産省も同タイトルで教育改革に取り組んでいます。
「まなびの生産性」というテーマで効率よく学習するためのICT活用という切り口で、教育改革を促進しています。
教育は「国家百年の大計」と言われますが、まさに国家を挙げてこの大テーマに取り組んでいる様子が感じ取られます。
本章の結論として「今回ばかりは、本当に変わります!」ということです。
「具体的には、次の教科や学習が小学校で導入されることになりました。
今までも英語の授業はあったけど、何が変わるの?
どんな準備が必要なの?
はい、これまでの「特別活動」の位置付けから、2020年から算数や国語と同じ義務教育としての「教科」となります。
だから他の科目と同様に成績も付きます。
中学では、小学校で学習したことを前提に「続き」を学習します。
これまでのように「楽しむ」だけではダメ。
「できる」ようになることが求められます。
こちらも2020年から変わります。
「プログラミング」ってパソコン学習のこと?
いいえ違います。
コンピューター言語が必修になるのではありません。
「プログラミング的思考」を学ぶのです。
例えば、命令通りにロボットを動かす、うまく動くように色々失敗を重ねながらも調整する、これが「プログラミング的思考」です。
だから、ロボットじゃなくてもいいのです。
例えば、作曲ソフトを使って一曲作り上げるのもプログラミング学習です。
「アクティブ」とは自発的になにかすること。
直訳すれば「自発的学習」となります。
一番分かり辛いかもしれませんね。
学校での授業の形式を変えよう、ってことです。
これまでは先生が児童や生徒に「知識」「技術」を与える形式、これが普通の授業でした。
「アクティブ・ラーニング」では先生は裏方に回り、生徒や児童が「考えて」「まとめて」「発表する」といった自分たちが主役になる授業形式を指します。
少人数制の塾などでは以前より取られている手法で、決して新しく考え出された学習方法というわけではありません。
このような教育改革下で、これから身につけておくと良い力とは、いったいどんな力でしょうか。
先ごろ行われた「試行テスト」(大学入試問題の改革に向けた準備のテスト。高2生対象)の中に大きなヒントがありました。
このテストは、従来のセンター試験と以下の点で形式・内容が大きく異なりました。
国語だけではなく、全ての科目において「文字が多い」「文章が長い」ということです。
問題そのものの難易度よりもその文章量に圧倒されます。
●国語 問題のページ数51ページ・試験時間100分
2.0分/1ページ
単純に1ページあたり2分の処理速度が求められる
●数学 問題のページ数29ページ・試験時間70分
2.4分/1ページ
「文字だらけ」の文章題・・・
●英語(リーディング) 問題のページ数35ページ・試験時間80分
2.3分/1ページ
全部で長文が11問・・・
法律文からポスター、グラフなど数値データ含めて様々な資料やデータを分析、読み取る問題が多く見られました。
「思考力」「判断力」「表現力」を求めるテストへと変遷しておりますね。
「著作権」「文化祭」「学校の階段」「学校新聞」など、科目を問わず生活に身近な話題から出題されております。
今回の改革の意図が良く出ている問題と言えます。
小学生が今からしっかり準備しておくべきこと、色々ある中あえて一つに絞るなら「読む力」と結論付けます。文字から情報を得たり、考えたりすることが楽々できるような「読む力」を存分に身につけておきたいと思います。
全ての教科、全ての学問の原点は「読む力」に集約されると考えます。
「思考」「判断」「表現」全て脳がする作業は、「ことば」に置き換えて営まれます。
つまり「ことば」の力こそが全ての学問・学習の原点です。
それも丸暗記するような「詰め込みことば」ではなく、「読書」など良文から得られる「生きたことば」です。
これは、日本語に限らず、英語においても語学習得という意味では同じことです。
だから「生きたことば」を習得する読書こそが、小学生の今、最も効率のいい、普遍的な学習方法であると断言します。
教育内容や入試制度がいかに変わろうと、この点だけは江戸時代の寺子屋から続くこの学習方法に勝るものはありません!
(「学習」ではなく、趣味、娯楽と思えたらなお良し!)
手当たり次第に読書する子どもたちの「たくましき知性」は、いかなる環境変化にも耐えうる「生きる力」を作り出してくれるでしょう。
2020年の教育改革で、従来の正解や間違え選び(消去法)をする試験が出題されて、教科書を丸暗記すればなんとかなっていた時代は終わりを告げます。
「真の学力」は受験前の「傾向と対策」じゃあ、間に合いません。
常日頃から鍛えるべき能力を見きわめて、育てていく時代になるのです。
これからの時代の変化を見逃さず、子どもたちに何をしてあげれば良いのかということの追求が大切になってきます。
株式会社理究 取締役 学習塾事業部(国大Qゼミ)を統括
学生時代から塾一筋三十数年 小学生から高校生まで 数英国理社全科目対応
保護者セミナー企画の開催、自らも話す