
“おもしろい” 気象と人間
出題作品
博士の長靴 (ポプラ文庫)
書名:博士の長靴
著者:瀧羽 麻子
刊行日:2022/3
出題校
豊島岡女子学園中学校
出題ページ
P72 だからこそ、おもしろい。
豊島岡女子学園中学校 出題
あらすじ
天気の研究に生涯をささげた気象学の博士と、その家族4世代における家族のあり方を描いた6編の物語集です。
ポイント
今回は「一九七五年処暑」からの出題で、気象学博士の藤巻昭彦博士の教え子である光野が、博士の息子で中学3年生の和也の家庭教師として藤巻邸を訪れたときの話です。
和也が博士の仕事を理解できないという旨を話すと、博士が「だからこそ、おもしろい」とつぶやき、また光野も、博士からの家庭教師依頼の理由が息子の成績向上ではなかったことを聞き理解できなかったが、その後光野自身も「だからこそ、おもしろい」と言います。表題は2つの“おもしろい”の意味を考えるもので、前者は気象の世界はわからないことがあるからこそ知りたくなるものであり、後者は科学者である博士の息子に対しての家庭的な面が見え、博士の人間性に好感を抱いた、ということを答えます。
作者の瀧羽麻子氏の作品は心情表現が抑え目で、読む側の想像力をかき立てられます。だからこそ入試問題においても“おもしろい”問題が多く出題されているのかもしれません。
執筆:国大Qゼミ中学受験コース 国語科 亀田 昌彦