中学受験 算数の学力を伸ばすには?

学力差の背景とは?

この記事は、中学受験算数で求められているのは、どんなチカラなのかを解説していきます。

基礎力とは何か?学力差の生まれる背景とは?という疑問から受験算数に立ち向かうための受験生のメンタルまで語っていきたいと思います。

1.いま求められているチカラの誤解

過去から現在にいたるまで中学入試で求められるチカラ。

それは「知識・技能」を高めるという点においては、変わりありません。

主に有名私学の入試が4科目入試(国語・算数・社会・理科)であることは、これから先しばらくの間、変わることはないでしょう。

知識・技能とは、「最低限かくとくすべきことと」「獲得を通して身に着く常識力」に大別できると思います。

例えば、前者は、計算の順序を知るということ、後者は、3%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて8%の食塩水にならない論理性を知る、ということでしょうか。

反面、このように「知識」と「技能」を分類することは、実は意味をなさないという考え方もできます。

知識は、つながりを無視した丸暗記型の学習では記憶が長持ちしない可能性もあります。

本当に知識を得るためには、机上の学習だけでなく、日常生活の中で生きた知識を獲得することです。

ですから、単なる知識の獲得だけにとどまらず、その背景を含めて理解することが、中学受験の膨大な知識を獲得する上で大切な学び方になるでしょう。

知識は「感情」とともに獲得するということですね。

最近の入試問題に、「なぜ?」が多く問われているのは、いま求められるチカラではなく、昔から変わらない本来的な学習法が問われているのだと思います。

2.算数の基礎力とは?

基礎といえば、「最低限の計算力」と「最低限の文章理解力」を表すのでしょう。

ただ、計算の精度こそ個人差がありますが、計算が全くできない状態で入試に突入する生徒はいません。

また、つるかめ算を知らない状態で入試に突入する生徒もいません。

ここで、計算を「工夫」して求めているか、「短時間」で処理することを心がけているか、という次のステージでの評価をおこなえば、多くの小学生は落第点でしょう。

典型的なつるかめ算の解法は分かっていても、他の分野と融合されたとたん、解けなくなってしまうことも同じです。

結局は、その場しのぎではない真の学力を、子どもが当事者意識をもって理解することが大切ですが、これを身につけることは至難の業です。

実は、テストにおいても、特に習ってすぐのカリキュラムテストの場合には、問題の雰囲気だけで解法を覚えていて、たまたま正解してしまうということが大半で、その結果で一喜一憂すること自体も妥当性はありません。

3.算数の学力差の背景について

「学力差はいつどの段階でついてしまうのか?」とよく質問されます。

この話題に関しては、よくわからないという答えが、一番誠意があると思っています。

いま学習している目の前にある問題の〇×だけで結論付けることはできないでしょう。

(入試は便宜的にそういう形式をとっていますが)

入試問題を仮に、「典型問題」と「非典型問題」とに分けてみることにします。

典型問題
各分野でよく見る代表的な問題。
テキストの「例題」にあたるような問題。
非典型問題
どちらかといえば、初見で論理を展開していく必要のある問題。

典型問題は、その問題にふれた経験量がものをいいます。

人により、習得までの回数に差異はありますが、最終的にはある一定以上の理解をともなってクリアできるレベルと言えます。

非典型問題は、初見で自分の論理をどこまで押し進めることができるのか、これは経験値を積めばクリアできるわけではないレベルです。

この典型問題を解くチカラを獲得できれば、多くの学校で合格点をとることが可能です。

有名校で差がつきやすいのは、どちらかと言えば、非典型問題です。

なぜならば、ねばり強さや辛抱強さなど、メンタルが関わってくる部分が多いからです。

はじめて見るような問題であっても、「あと一歩考えてみよう」「何としてでも自力で解決したい」などの思いが解決への要素になり得ます。

このような思いは、「プライド」があるかどうかにつながってきます。

4.プライドを育むこと

プライドを育むには、学習面における「成功体験」を積むことでしょう。

はじめは自力ではできそうにない問題であっても、自分でできたという達成感が、次の未知なる問題を解き切る活力になります。

他人からの誉め言葉で成長する瞬間もありますが、それは長持ちしないでしょう。

プライドはむしろ、「捨てさせないこと」の方が難しいです。

まわりにいる大人が、プライドをなくさせる声かけをすることは至極容易なことです。

「こんな問題もできないの?」
「なんでこんな成績しかとれないの?」

こう伝え続けると、比較的、短期間でプライドをなくした子どもが出来上がります。

プライドがなくなるまで
僕(私)はこんなにできないのか!

やってもどうせできるようにはならない!

やっても無駄!

思考停止

おおむねこのようなストーリーが描けます。

以前、塾の勤務を終えて帰宅する時に、駅構内のベンチにすわって電車待ちをしながら問題を解いている教え子を見つけました。

声をかけてみると、「授業の中で解いたこの問題がどうしても解決できない」と言うのです。

さらに彼の話に耳をかたむけると、「毎日、自宅の最寄り駅までの20分間で必ず問題を解いている。」

そして、自宅につくまでに解決できれば勝ち、そうでなかったら負けだと決めている」と自分の中でのルールを話してくれました。

彼はその後、偏差値70以上の中学校に進学しましたが、小学生のうちから、自分のプライドを大切にしていたわけですね。

そして、彼のまわりにいる大人は、彼のプライドを傷つけることなく、見守り続けていたに違いありません。

5.受験指導において大切にしていること

私たちは教科を通して、物事の仕組みや原理を子どもたちと共有していくことが大切な役割だと考えております。

単なる知識であっても、その背景にどんな世界があるのか、その世界観とともに伝えていくということです。

そこで、私たちが注意したいことは「教え過ぎない」ことだと思います。

まわりにいる大人は、子どもがつまずかないようにできるだけ先回りすることがあるかと思いますが、その先回りの限度がすぎると、困ったときには誰か助けてくれるという誤解を与えてしまうかもしれません。

教科教育においても、つまずいてしまったり、立ち止まって自分で考えたりする瞬間を持たなければ、当事者意識は育たず、「自立した学習者」への道のりは遠くなってしまいます。

算数の問題を解いていて、すぐに解法が思い浮かばない、思考を停止してしまうことが起これば、その問題の解法を教わったとしても、深く理解することができず、子どもの中に何も残らないまま次の問題に進んでいくというくり返しになります。

そうなると学力が積み上がっていかなくなり上達が見込めなくなります。

今回は、以上5つのテーマに関して、それぞれを回答していく形式でお伝えしました。

まずは資料請求・体験から

資料請求/体験フォーム