人がことばを話すとき、のどの声帯をうまくをふるわせ、口や舌の形で音のひびき方を変えてさまざまな声を出しています。人にもっとも近いチンパンジーでも話すことができないのは、声帯が口に近すぎるのでうまく音をひびかせることができないためです。人のことばをまねすることで有名なのは、オウムやインコ、九官鳥などといった鳥のなかまです。これらの鳥が話せるのは、むねにある鳴管という声を出すところと舌が大きく発達しているためです。
ではいったい何のために人のまねをするのでしょうか?
これらの鳥はもともと、南の地方で群れをつくって生活しています(オウムの場合、多くはオーストラリアに生息しています。) 子育てするときには、オスとメスで「つがい」(夫婦)になりますが、まわりに鳥が多いと、自分の相手がどこにいるのかわからなくなります。そのとき、合図として使われるのが、鳥ごとにちがう特別な声です(「ラウド・コール」といいいます)。相手を呼ぶときには、その相手の「ラウド・コール」をまねして鳴き、相手の返事を待ちます。ですから、人といっしょに生活している鳥は、話しかけてくる人間を仲間だと思い、人の声をまねしていると考えられます。
また、中にはただ人のまねをするだけではなく、ことばの意味を理解して話すという例もあります。アメリカの研究者が30年以上育てたアレックスというオウムは、50以上のものを区別し、7つの色と5つの図形を覚えていたそうです。 博士が、お皿の上に緑と青のブロックを置くと、アレックスはそれを見て、その中に青のブロックはいくつあるかを答えることができたそうです。 このような研究が進み、いつか人とオウムがいろいろな話ができるようになると楽しいでしょうね。