塩を水に入れると、いつのまにか見えなくなってしまいます。これは、塩がイオンとよばれる小さなつぶになり、水の中にまじってしまうからです。このイオンというのは原子が 電気を帯おびた状態になったものです。(Q08.を見てみよう)
さて、鉄や金などはすべて原子が集まってできていますが、それぞれの金ぞくによって、イオンになりやすいかどうかがちがいます。
いろいろな金ぞくをイオンになりやすい順にならべると次のようになります。
アルミニウム > 鉄 > 水素 > 銅 > 銀 > 金
つまり、この中ではアルミニウムがいちばんイオンになりやすく、金がいちばんイオンになりにくいということです。この中にある水素は金ぞくではありませんが、塩酸(塩化水素という気体が 水に溶とけたもの)の中には、水素イオンという状態になってたくさんふくまれています。塩酸の中に鉄を入れた場合、鉄のほうが水素よりイオンになりやすいわけですから、鉄が鉄イオンになって塩酸に溶け、かわりに塩酸の中の水素イオンがイオンの状態から元の水素原子の状態へもどります。(これが鉄が塩酸に溶けて水素が発生する理由です)
このようなわけで、アルミニウムや鉄などの、水素よりイオンになりやすい金ぞくは、塩酸の中に入れると溶けてしまいます。
金には、塩酸のような酸に溶けにくく、またさびにくいという性質を持っているので、昔から大事にされてきましたが、金はどうしても溶けないかというとそうではありません。 塩酸にしょう酸という強い酸性の薬品をまぜると、金を溶かすことが発見され、なんでも溶かすということで王水とよばれました。(しょう酸には金ぞくがイオンになるのを助けるはたらきがあります)
王水のこの性質は、昔は錬金術(Q50.を見てみよう)などで使われていましたが、今では、金を溶かして指輪や食器などにかぶせたり(金メッキといいます)、病気を治す薬品や器具に利用されています。
また、金は電気を通しやすいというすぐれた性質があるので、携帯電話などの電気製品にも使われています。そして、不要になった場合、大事な資源をむだにしないために、金を取り出して再利用(リサイクルといいます)しています。