Q08.の「原子力とは何ですか?」で説明していますが、すべてのものは原子というつぶからできています。そして、その原子の中にある電子は磁石のはたらき(スピンといいます)を持っています。
そうすると、どんなものにでも電子がふくまれるので、磁石になりそうなものですがそうはなりません。
というのは、原子にはたくさんの電子がふくまれていて、おたがいに磁石の性質を打ち消してしまうからです。
ところが、鉄やニッケル、コバルトといった金属の場合は、完全に打ち消しあうことができず、磁石の性質が原子に残ります。ですから、たとえば鉄のかたまりがあれば、その中には、目に見えないような小さな磁石がたくさんふくまれていることになります。
そして、ほかの磁石に近づけたり、磁石でこすったりすると、鉄のかたまりの中の小さな磁石の方向がそろって、全体として大きな磁石になることができます。
ところで、山の頂上ふきんに、磁石のはたらきを持った岩があることがあります。これは、鉄の成分を多くふくんだ岩に雷が落ちて、強い電流が流れたため、岩の中の小さな磁石の方向がそろったためです。
さて、そのようにしてできた磁石に熱を加えたり、または、強いしょうげきをあたえたりすると、鉄のかたまりの中の小さな磁石は、ばらばらな方向を向いてしまうことになり、もう磁石ではなくなってしまいます。
地球全体は大きな磁石のはたらきを持ちます。(Q24.でも説明しています) 以前は、地球の内部に鉄などの金属がたくさんあるので、地球は大きな永久磁石であると考えられていました。しかし、地球の内部は非常に温度が高く、金属を磁石の状態にたもつことはできません。 現在もっとも有力な説は、地球が自転することで、地球の内部に電流がうまれ、この電流が磁力をつくりだしているという考えです。 どうやら、地球は永久磁石というよりは、電磁石に近いといってよいようですね。