今から15年ほど前、山形県のある寺の池で 人間の顔に似た魚の写真が週刊誌 にのせられて、日本中で人面魚ブームがおこりました。 テレビでもさかんに取り上げられ、魚だけでなく、人間の顔にそっくりとされる動物がいろいろと話題になりました。
では、人面魚とはいったいどのようなものなのでしょうか。
ふつう、魚の体の表面はうろこでおおわれていて、さまざまな模様があります。 その模様がまるで人の顔のように見えるため、人面魚としてさわがれました。 ほとんどの場合、うろこが大きく模様が目立つため、鯉だったようです。
ちょうど、人間の目に当たる部分に濃い色の模様があるため、 正面から見ると人の顔のように見えてしまうわけですが、 もちろん、じっさいの目は、ふつうの鯉と同じく体の横についています。 模様のつき方は魚1匹ごとにちがいますから、「顔つき」も当然1匹ごとにちがうことになりますね。
今年になって、韓国の清州市というところに住む人の池に、 2匹の人面魚がいるということが話題になりました。 何年も前から、ふつうの鯉とうろこのない鯉とを交配させて稚魚を 育てていたところ、人に似た顔をもつものが生まれたということです。 両目の間の骨が口のほうへ飛び出ているので、 それが人間の鼻のように見え、魚の目は人間の耳、魚の鼻が人間の目に見えるそうです。
さて、ふだん身のまわりのものを見ていて、何気ない模様が人の顔に見えてくるということはありませんか。 脳の研究によると、脳の中に『顔細胞』 というものがあり、目や口にあたるところに模様があると、自然に顔に見えてしまうというはたらきがあることが分かっています。 このページの背景には、木目の模様が使われています。 どこかに人の顔に見えるところがあれば、脳の『顔細胞』というしくみがはたらいているわけですね。